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JUNTENDO MEDICAL JOURNAL当講座に基礎ゼミに来ていた学生が研究を行って論文発表をした。これに対して同窓会から奨励賞を出していただき、そして最近、その関連記事を当誌に掲載していただいた。大変結構なことである。研究をある程度体験すると、科学的知見がどのような過程を経てもたらされるのか、研究手法の技術的限界の中で真実に辿り着くことがどのくらい困難で時として危ういものなのか、などを知ることができる。その結果、他の研究者から単純化されてもたらされる研究情報を、重層的に解釈できるようになる。これは、研究者だけでなく、臨床医にとっても重要なことであろう。この学生がどのような道を歩むかは分からないが、良い経験になったに違いない。この基礎ゼミは医学部のカリキュラムの一部で、基礎医学の講義と実習を修めた後に行われ、研究者の視点で自然現象を見るよい機会となる。資格試験を通過することが中心となりがちな医学部教育にあって、大学としての高等教育を分かりやすく担保しているのが基礎ゼミであるのに、約1か月という申し訳程度の期間になっている。医学部以外のほとんどの学部では、学生に研究者としての活動を課していて、理系では研究室に、文系ではゼミに配属されて1-2年間の研究活動をしているようだ。医学部では医学専門教育が過密であり、その期間だけでは基礎ゼミが不十分である。ちなみに米国では、医学部進学の前に他の学部を卒業しているので、医学部入学時には研究活動を既に経験しており、部活動などで青春を謳歌することも堪能済みである。日本ではこれら医学専門教育、研究活動、その他の活動を大学生活に詰め込むことになるので、ほとんどの学生にとっては研究どころではない。したがって、大学院に入って、4年間の研究活動をしてみる必要がある。4年間で一つの仕事をすると、専門外の研究を含めて、それなりに研究者目線が利くようになるはずだ。医学部と大学院はセットであると考えるべきだろう。編集委員相川眞範射場敏明大田康江大野直子落合匠金子和夫城山泰彦後藤政実小西清貴櫻井しのぶ髙橋和久谷川武田村好史せっかく奄美大島に行ったのに、あの美しい海と砂浜を描かないではいられず、前号に引き続きますが、描きました。海の色々なブルーはもちろんですが、波と風によって作られた砂の型と色(自然の造形美)に魅かれたのです。(宮道明子) 順天堂醫事雑誌の記事については既に明治8年の創刊号から電子化されており,J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)の電子ジャーナル公開システムにおいて閲覧することができます.順天堂医学会のホームページからもご覧いただけますので,ご活用頂ければ幸いです(https://www.juntendo.ac.jp/journal/).「順天堂醫事雑誌」では,医学界の最新知識を紹介するために,特集として総説を毎号に掲載しています.読者の皆様には,特集として相応しい企画等がございましたら,編集室宛にご提案下さいますようお願い申し上げます.イラスト作者より特集の企画募集Ⓒ The Juntendo Medical Society 2022 Tokyo Japan20221031 発行人 順天堂医学会発行責任者 長 岡   功第68巻 第5号(通刊940)令和4年(2022年)10月31日発行明治8年(1875年)創刊〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学内順天堂医学会事務局:電話 03-5802-1586E-mail: j-igaku@juntendo.ac.jp編集・印刷 株式会社 広稜社〒113-0034 東京都文京区湯島2-31-25-4F電話 03-3868-3352 E-mail: jmj@koryo-co.com順天堂醫事雑誌編集室(一財)国際医学情報センター内電話 03-5361-7089 E-mail: jmj@imic.or.jp小西清貴医学部生理学第一講座563編集委員長 長 岡  功藤尾祐子町田修一松本顕三井田孝美田敏宏三宅幸子山口智史和氣秀文Michael AndreeffRobert S. BresalierYang KeJoel MossRobert F Whittier編集顧問加藤 俊介桑鶴 良平小林 弘幸長岡 正範初田 真知子平澤 恵理村上 晶(イラスト)宮道明子編集後記順天堂醫事雑誌

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