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この抄録は,順天堂醫事雑誌68巻4号,p324-331,2022掲載の『Fudan Zenshin, Kyumeikyukyu ; ~Now JIN again~』の和文抄録です.順天堂醫事雑誌2022. 68(4), 451抄 録 この度,2022年3月末日をもって定年退職を迎えます.小川秀興理事長をはじめ,これまでご指導,ご支援くださいました多くの方々に心より感謝申し上げます.私は1982年大阪大学を卒業し,特殊救急部に入りました.当時重症外傷や熱傷,中毒,敗血症などの重症患者が連日運ばれてきました.スタッフは現場でスキルを磨き,教え合い,研究に切磋琢磨しました.救命出来ずに多くの悔しい思いもしました.その後,救急医療のニーズも変化し,救急医の診療領域は,病院前救急医療から初期診療,集中治療,災害医療など多岐に及んでいます.2007年9月に順天堂大学浦安病院へ赴任しました.赴任間もなくサッカー全日本監督の緊急入院や,中国冷凍ギョーザ事件で浦安病院が注目を浴びました.救急医療は社会を映す鏡と言われています.私自身,多くの災害や事件などを経験してきました.現在もCOVID-19パンデミックと闘っています.赴任して15年が経ちますが浦安病院の仲間は62名になります.皆救急科専門医など多種の専門医を取得しています.18名が学位を取得し,ハーバード大学やNYフェインスタイン研究所などに多くが留学しています.2019年,第47回日本救急医学会総会を主催しました.本学会のテーマは,「不断前進,救命救急,今ふたたび 仁」です.救急医療は「医」の原点であり,すべての国民が生命保持の最終的な拠り所としています.これからも我々救急医は消えようとしている命の灯を照らし続けるために,最後まで諦めずに患者に寄り添い救命医療を行ってまいります.最後に今まで私を支えてくれた教室員一同,家族に感謝します.順天堂のますますのご発展とお世話になりました全ての方々のご健勝を祈念しまして,定年退職の挨拶とさせて頂きます.キーワード: 救急医療,病院前救急医療,プライマリケア,集中治療,災害医療順天堂大学医学部附属浦安病院救急災害医学451不断前進、救命救急 今、ふたたび「仁」田 中   裕

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