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2)順天堂大学大学院医学研究科再生医学1)順天堂大学順天堂医院 足の疾患センター3)順天堂大学医学部形成外科学講座この抄録は,順天堂醫事雑誌68巻2号,p96-100,2022掲載の『Establishment of Japan’s First “Podiatry Medicine Center” in a University Hospital』の和文抄録です.順天堂醫事雑誌2022. 68(2), 198抄 録 欧米には足の診療を専門にする学問である足病学(Podiatry)があり,その診療を専門にする足病医(Podiatrist)という国家資格が存在する.欧米では足に異常があれば足病医を受診するのが一般的であり,足病患者に対する専門的な診療が行われる.しかし,日本においては,「足が痛い」と感じたとしても,原因が分からない段階ではどの診療科を受診してよいか分からないため,適切な診療科を受診できずに改善に至らない患者が存在する.日本では,足病診療は多くの場合「フットケア外来」,「難治性潰瘍外来」,「創傷ケアセンター」等の標榜で複数診療科(形成外科,皮膚科,整形外科,循環器内科,血管外科等)で足病患者の診療を行っているが,Podiatry Medicineを標榜している大学病院は日本には存在しなかった.今後高齢化社会が進む中,健康寿命を延伸するためには「歩行」を維持することは重要な課題のひとつであり,適切な知識と高い技術を併せ持って診療を行える足病の専門診療体制の設立は,日本の今後の社会にとって必要不可欠と考え,順天堂医院において日本発の大学病院における「足の疾患センター」を設立し,Podiatry Medicineの構築を行った.本センターは欧米の足病医療(膝を含まない下腿~足部の医療)と同様に足に生じる症状に対して総合的にアセスメントを行い,フットケアから最先端医療まで集学的治療を行うことを目的としている.本センターは,形成外科,皮膚科,循環器内科,血管外科,糖尿病内科,膠原病内科,腎臓内科,整形外科,リハビリテーション科,看護師,義肢装具士などと多くの診療科と他業種と連携し診断と治療と予防を実施し,迅速に同じ知識,目標を共有する専門家と連携したチーム医療を実現している.198キーワード: 足病,足病医学,チーム医療,大学病院田 中 里 佳1-3)大学病院初の「足の疾患センター」における足病診療の取り組み

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