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この抄録は,順天堂醫事雑誌68巻1号,p12-16,2022掲載の『Prevention of Delirium Via Melatonin and Orexin Neurotransmission』の和文抄録です.Juntendo Medical Journal2022. 68(1), 93抄 録 せん妄の基本的概念は覚醒度の障害である.それに加えて,不眠,過剰な午睡,概日リズムの混乱を含む睡眠覚醒サイクル障害が特徴的な臨床像として示されてきた.それに対して非薬物的介入はある程度の成果を収めたが,せん妄が種々の生物学的機序をもつためその効果には限界がある.薬物的介入のうち抗精神病薬は有効のようであるが,錐体外路症状のような副作用が比較的高頻度で出現することから予防的投与には適さない.近年,新たな不眠症治療薬がせん妄予防に関して注目を浴びている.最近のメタ解析によって,メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬はせん妄予防に有効であることが示され,リアルワールドデータによってそれらは支持されている.キーワード: せん妄,メラトニン,オレキシン,予防,睡眠覚醒サイクル障害順天堂大学医学部附属練馬病院メンタルクリニック93メラトニンおよびオレキシン神経伝達を介したせん妄予防八 田 耕 太 郎

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