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JUNTENDO MEDICAL JOURNAL新型コロナウィルスの新規感染者の確認が全国で2万人を超え、第5波が鮮明となっている。コロナ禍にあり、これまで普通であったことが普通ではなくなっています。私が主に関わる周産期の医療現場も然り。面会や家族の立ち合い分娩が制限されたり、母親学級や両親学級が中止されたりなど、様々な制約が生じています。このために、不安を抱く多くの声を耳にします。ですから、これまで以上に、妊産褥婦やその家族に安心や癒しを届けるケアの重要性を再認識する必要があると考えます。安心や癒しを届けるケアの一つに、タッチケアがあります。タッチケアは看護にとって重要な技です。タッチケアは、ストレスや疼痛を緩和するだけでなく、非言語コミュニケーションの手段として、気分を落ち着かせ、孤独感を和らげるなどの心理社会的な効果をもつと言われています。これは「手当て」という言葉が正鵠を射ています。タッチケア効果にオキシトシンの介在があると言われています。オキシトシン濃度は、愛する人との抱擁回数が多いほど上昇し、血圧の降下に繋がるとの報告があり、また、15分のマッサージで上昇し、相互信頼関係が高められ、マッサージを受けなかった群に比して、互恵の精神が高まったとの示唆もあります。目下、このマッサージのような人との物理的接触が躊躇されていますが、救いがあります。オキシトシン分泌は、物理的刺激であるタッチケアを代表とする体性感覚刺激のみならず、視覚・聴覚・嗅覚などの知覚刺激および人との心理的交流を通しても促進されるからです。電話越しに愛する人の声を聞く、あるいは相手に優しい言葉で気にかけてあげるなどの行為だけでも、オキシトシンは分泌するという報告があります。感染防止のため、人に物理的に触れることがためらわれがちな状況下で、人と人の間に心の壁を作っては、看護や介護は悪化してしまいます。できる限り安心や癒しを届けるケアを施すために、今一度、身体的に触れなくても、心の「触れあい」がいかに大切であるかの認識を新たにしたいと思います。編集委員相川眞範射場敏明大田康江大野直子落合匠金子和夫城山泰彦後藤政実小西清貴櫻井しのぶ髙橋和久谷川武田村好史藤尾祐子今年の夏は異常な暑さです。マスクをつけていることで、一層身体にこたえます。せめて誌面に涼感を出そうとグラスに貝殻を入れて描きました。昔、色々な島に旅行した時に拾い集めたものです。あー、青い海が懐かしい。(宮道明子) 順天堂醫事雑誌の記事については既に明治8年の創刊号から電子化されており,J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)の電子ジャーナル公開システムにおいて閲覧することができます.順天堂医学会のホームページからもご覧いただけますので,ご活用頂ければ幸いです(https://www.juntendo.ac.jp/journal/).「順天堂醫事雑誌」では,医学界の最新知識を紹介するために,特集として総説を毎号に掲載しています.読者の皆様には,特集として相応しい企画等がございましたら,編集室宛にご提案下さいますようお願い申し上げます.406イラスト作者より特集の企画募集〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学内電話 03-3868-3352 E-mail: jmj@koryo-co.comⒸ The Juntendo Medical Society 2021 Tokyo Japan 発行人 順天堂医学会発行責任者 長 岡   功第67巻 第4号(通刊933)令和3年(2021年)8月31日発行明治8年(1875年)創刊順天堂医学会事務局:電話 03-5802-1586E-mail: j-igaku@juntendo.ac.jp編集・印刷 株式会社 広稜社〒113-0034 東京都文京区湯島2-31-25-4F順天堂醫事雑誌編集室(一財)国際医学情報センター内電話 03-5361-7089 E-mail: jmj@imic.or.jp20210831大田康江順天堂大学医療看護学部 母性看護学・助産学編集委員長 長 岡  功古川亮子町田修一松本顕三井田孝美田敏宏三宅幸子山口智史和氣秀文Michael AndreeffRobert S. BresalierYang KeJoel MossRobert F Whittier加藤 俊介桑鶴 良平小林 弘幸長岡 正範初田 真知子平澤 恵理村上 晶(イラスト)宮道明子編集顧問編集後記順天堂醫事雑誌

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